四十餘りの女

 二三度聲をかけると、中から四十餘りの女が出て來た。何處か面ざしがお房さんに似てゐた。女は辯解的な口調で、警戒と探索の眼を私の胸もとに閃めかせながらいつた。「全く姉には困り果てましてねえ――姉は何處か遠方へゆくとか、二三年前から申して居りましたが、いゝえあなた、皆でとめたのでございますよ、どうして...

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小包が屆いた

 ある日、小包が屆いた。差出人の名がなかつた。開けて見ると、それはみんな手紙の反古だつた。封筒にも何にも入れずに、一束に括つてあつた。テープを切つて中を讀んで見ると、そのどれにも一々、片山とし子樣と私の名が書いてあつて、どうも差出人はお房さんに違ひないと思つた。 それは一々私宛ての手紙體に卷紙に書...

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眼の惡い彼女を見ると

 その頃から私はやつと彼女に異常を認め出した。 ある日、「今日こそは永のお袂れに上りました」 さういつて爪さぐるやうな足許をして上つて來た。眼の惡い彼女を見ると、すつかり髮を切つて坊主頭になつてゐた。「永のお袂れなんて、まあどうしようといふんです」「これから私は汽車賃のある處まで行きます、多...

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